今、変わるべきでしょ!可藁津今茂の経営日記

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年1回、請求書だけ来るんや

可藁津 今茂、とりあえず知人に頼んだらレスが来ない

「知り合いに頼んだんや。もう15年くらい前になるかな。経営者の会で知り合った後輩でな、ホームページ? 作れますよって言うから、ほな頼むわって」

製造業の社長・可藁津 今茂(68歳)は、例によって古びた自社サイトを眺めながら、
まるで親戚に頼んだ表札を自慢するように語った。

「頼んだらすぐ動いてくれてな、当時は気合い入れて作りましょ!とか言うとったんやけど・・

今は、まあ、連絡しても返事がなかなか返ってこーへん」

たしかに、完全な音信不通ではない。

たしかに、完全な音信不通ではない。
年に一度、サーバーとドメインの請求は届く。支払いもしている。
でも、更新や相談の連絡には、レスがかなり遅く、たまに返ってこない。

「別に、作り直すほど困ってへんしな。費用もまたかかるやろ? 変えたらまた何か面倒やし。
そもそも当時もワシ、原稿書くのに1年かかっとるんやで?」

実際、今茂社長のホームページは10年以上更新されていない。
会社概要も、スタッフ紹介も、製品情報も、そのまんま。
見るからに時代遅れだが、本人にはそのままにしてる理由がある。

そのままにしてる理由

「今の若いのって、いちいち月額で金取るやろ? 聞くだけでも金かかるとか、よう言うとるやん。
けどな、ワシらの時代は、相談されたら何とかしたるってもんやったで。
しかも相手は後輩や。ワシもよう面倒みたし、飲みも連れてったんや。ワシにしてみたら友達価格やねん

ところが、その後輩の業者との関係、実は経営者の会や知人の間では有名だった。
「また無料で相談されてるらしいで」「対応が雑だって怒られたらしい」
そんな噂がちらほら。
今茂社長だけでなく、同じように相談無料・対応当然の態度をとっていた人が他にもいたようだ。

そして今茂社長、こんなことも自分で語る。

「この前の返事、ちゃんと考えて言ってんのか? プロやったらもっとはっきり答えんかい!」
実はこのセリフ、一度きりではない。業者から見れば何度も強い口調で詰められた記憶として残っている。

加えて、保守契約は一切しておらず、サーバーとドメイン代だけを払いながら、
「ちょっと聞きたいんやけどな〜」と無料相談が日常化していた。

本人は「付き合いやから当然」「昔ながらのやり方」と思っていたが、
相手からすれば「言い方もキツいし、費用も発生しない。距離を置きたくなる」のも無理はない。

「そりゃな、売上はちょっと落ちてきとる。でも、社員はみんな家族やし、何とか支え合ってやっとる。
ホームページから問い合わせあったらええなぁとは思うけど・・
ま、今のままでええかってな」

一応、社員に「今ってホームページで集客とかできるんか?」と聞いてみたこともある。
でも、「社長が変える気ないのに、こっちが動いても・・」と口には出さず目で訴えられた。

可藁津 今茂は、決して悪人ではない。
後輩を可愛がりたいと思うし、社員のこともちゃんと大事に思っている。
けれど、変わらないことが足を引っ張っている現実に、本人も気づき始めている。
問題は、どうすれば変われるのかが分からないこと。
それが、今の最大の壁だ。

変わるべきポイントはココ!

ホームページは「一度作ったら終わり」ではなく、「動かしてこそ意味がある道具」。
知人に頼んだこと自体は間違いではありません。
でも、「何となく放置」「連絡しづらいからそのまま」では、時間とお金だけが過ぎていきます。

たとえ関係が途切れかけていても、
今、ちゃんと向き合いたいという姿勢を見せるだけで、関係が再構築されることもあるのです。

このシリーズは、「時代の変化についていけないけど、どこか憎めない社長」を通じて、
経営に潜む思い当たるあるあるをユーモラスに描いています。
ちょっと笑って、ちょっと考える。そんな時間にしていただければ幸いです。

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