今、変わるべきでしょ!可藁津今茂の経営日記
title
理念記念日なんて必要か?
ない会社だからこそ考えたい
月に1〜2回、経理処理のために実家へ帰る。
その日も帳簿を整理しているとき、ふと父に話を振ってみた。
「お父さん、今月はプラドさんが理念記念日をやるんだって」
父・可藁津今茂(68歳)は、湯飲みを手にして「なんやそれ?」と笑った。
「理念なんて毎日胸に持っとけばええやろ。わざわざ記念日にせんでもな」
思わず私は言い返していた。
「でも形にするから社員にも伝わるし、思い出すきっかけになるんだよ」
父の世代の感覚
父の世代にとって「理念」は、わざわざ紙に書かなくても、口癖や日々の態度ににじみ出るものだ。
「ええもんをつくって届けるって思とったら、それが理念やろ」と父は胸を張る。
確かにそれでやってこれたのも事実だと思う。
でも社員からすれば「社長の信念」を直接感じられるのは、限られた場面だけだ。
普段は忙しさに追われ、目の前の仕事をこなすだけで精一杯。
理念を「自然と伝わる」と信じていても、社員全員に共有されるとは限らない。
娘の視点から見える「理念記念日」
私が思う「理念記念日」の意義は3つある。
・立ち止まる機会になる
普段は流されがちな日常でも、1年に1度なら「自分たちは何のために働いているのか」を考え直せる。
・信念を言葉にするきっかけ
口癖や雰囲気に頼らず、言葉にして“見える化”する。書き残すことで社員や次世代にも受け継がれる。
・普段語らない人でも語れる日になる
「この日だけは」と区切るからこそ、社長が思いを口にする。社員にとっても貴重な時間になる。
「そら、せやな。なんも言わんよりは節目があったほうが社員も考えるかもしれんな」
父は少し照れくさそうに笑った。
理念がある会社と、ない会社
私の父の会社には、まだ理念がない。
でももし理念があって、「理念記念日」をつくれたら・・
社員や家族も一緒に「なぜ働くのか」を考えるきっかけになるんじゃないか。
理念がある会社は強い。
理念がない会社は、強くなれるチャンスを逃しているのかもしれない。
今回の気づき
理念を「記念日」にすることは、形だけのイベントではない。
立ち止まって考える節目をつくること。理念がない会社ほど、その大切さに気づくチャンスになる。
この物語はフィクションですが、実際の経営現場でよくある話をもとにしています。


