今、変わるべきでしょ!可藁津今茂の経営日記
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なぜ人は曖昧にしたがるのか?
そんなこと聞いていないがトラブルになる
月に一度の経理処理で実家に帰ったとき、父・可藁津今茂(68歳)がぽつりと口を開いた。
「こないだ知り合いの経営者がな、あれは言った・言わんで揉めとったんや」
「どういうこと?」と聞くと、父は肩をすくめた。
どうやら取引先との口約束が原因で、後になって「そんなことは聞いてない」と争いになったらしい。
私はふと口にした。
「どうして、わざわざ曖昧にしたがる人がいるんだろうね?」
父は少し考えてから、
「まぁ、面倒やし、信じとるからってのもあるやろ」
と答えた。
人が曖昧にしたがる理由
よくよく考えると、人が曖昧にしたがる理由はいくつもある。
◆面倒だから
いちいち書類に残すのが手間だと感じる。
◆後で有利にできるから
責任を回避したり、条件を変える余地を残せる。
◆信じているから
相手を疑わないことで確認を省いてしまう。
◆雰囲気を壊したくないから
その場の和を大事にして、きちんと詰めない。
父は「昔は顔合わせて“わかったわかった”で通じとったんやけどな」と懐かしむ。
でも、今は人や会社の数も増え、関係も複雑だ。
「曖昧にしたまま」では、後で責任を押し付け合うことになる。
書面に残すのは誠意の証
私は父に言った。
「だからこそ、紙やメールで残すのが誠意なんだよ。疑うためじゃなくて、誤解をなくして関係を守るために」
父はしばらく黙った後、
「そうやなあ。筋を通す意味でも、残すんは大事やな」
と静かにうなずいた。
信頼は「人柄」だけでは守れない。
曖昧さはその場では楽かもしれないが、後から大きな傷になることもある。
明文化することは、相手を疑う行為ではなく、関係を続けるための投資だ。
今回の気づき
人は「面倒」や「責任回避」で曖昧にしがち。
でも、信頼を守りたいなら“あえて明確に残す”ことが一番誠実な行動になる。
この物語はフィクションですが、実際の経営現場でよくある話をもとにしています。