今、変わるべきでしょ!可藁津今茂の経営日記
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「社員に任せとる」と言いながら、全部口出ししてくる
「ウチは社員に任せとるでな」
父・可藁津今茂(68歳)が、昔のホームページの更新作業について話すとき、必ず口にする言葉だ。とはいえ、実際はほとんど社長が全部やっていた。
「ワシが文章も写真も用意してな。社員には『これ、そのまま載せといて』って言うだけやった」
それ、任せてるって言わんよ・・。
15年前のあの頃
あの頃、社長は確かに一生懸命だった。ホームページを作った15年前。私は当時まだ学生で、「ホームページで仕事が広がるんや!」と嬉しそうに話す父の姿を覚えている。
時代の変化の波にまだ少し余裕があり、「ネット?まあやっとくか」くらいのテンションで、知り合い経由の業者と話し、手探りでサイトを立ち上げた。
最初の数年は、新製品の写真をアップしたり、お知らせを追加したり、更新もそれなりにしていたらしい。
けれど、徐々に忙しさにかまけ、社員に「この前の写真、入れといて」と投げるようになった。
ただし、その原稿は文章とも言えないようなメモ書き、写真もイメージで「これ使っといて」とだけ伝えられる。
編集のやり方を社員が聞こうとしても、「ワシが見とるからええ」と突っぱねられる。そのうえ、社長のイメージと違う仕上がりになると「なんやこの見せ方は!」とダメ出し。
そうして社員たちは、何も言えず『編集からアップロードまで全部任されるけど、実際は何も決定できない係』になっていった。
しかも社長が忙しくなると、「その件あとでな」と指示が止まり、更新も止まる。
そして、更新は完全に止まった。
止まってしまったホームページ
私は今、名古屋の製造業で営業アシスタントとして働いている。
たまに帰省して父の会社のホームページを見ると、止まった時間がそのまま映し出されている。
・10年前のお知らせがトップに出たまま
・スマホで見るとレイアウトが崩れてる
・社員紹介の写真は、もう退職した人がまだ写っている
先日、実家に帰ったとき、こんな会話になった。
「このページ、もう社員いないよね」
「まあな。でも消したらさびしいやろ」
父は、更新を止めたことを責められると思ったのか、少しバツが悪そうだった。
でも、私は思う。
父の『止まったホームページ』は、手を出しすぎた結果でもあるし、誰にも任せられなかった寂しさの表れでもある。
任せたくても任せられない。
任せると言いながらも、心配でつい手を出してしまう。
それって、結局・・『信じきれていない』ってこと。
私は、この会社が好きだ。父が創業し、想いをかけてきたこの場所が、これからも続いてほしいと願っている。
だからこそ、少しでも変われるヒントになればと思う。
今回の気づき
更新されないホームページは、社内の「任せ方の問題」を映す鏡かもしれません。
「任せる」ことは「投げる」ことではありません。
状況や目的を共有して、やり方を伝えて、安心して任せる。そうすれば、更新も業務も、ちゃんと動き出すんです。
経営者が全てを抱える時代は、もう終わり。
次の一歩は、「託す力」なのかもしれません。
この物語はフィクションですが、実際の経営現場でよくある話をもとにしています。