今、変わるべきでしょ!可藁津今茂の経営日記

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「理念で人が来るならええやん?」と言いながら、まったく書けない社長

「理念なんてなぁ・・で、飯が食えるか?」

またしても社長室に響く、可藁津 今茂(68歳)の名言(迷言)である。

創業から30年。職人肌の現場営業で会社を大きくした今茂社長。
近年は社員の高齢化と人手不足が深刻化しており、とうとう知り合いの採用会社に相談することに。

採用会社の一言

そこで、採用会社の担当者が言ったのがこちら。

「御社、ホームページに「経営理念」が載ってないですね?
今は、理念がないと応募も来づらいですよ」

「はぁ? 経営理念?
そんなんで人が来るんか…?」

そう言いながらも、最近人が集まらずに困っていた今茂社長、内心ではこう思う。

(・・来るなら、載せたってええか)

数日後、採用会社からA4用紙1枚の「経営理念記入フォーマット」が届く。
そこには見慣れない言葉がずらり

「存在意義」

「社会に対する価値提供」

「大切にしている価値観」

(なんやこれ・・難しすぎるわ)

「ウチはな、ちゃんとやる、を大事にしとるんや。それでええやろ」

それでも記入欄は一行も埋まらず、机の上で用紙は斜めになっていく。

採用のために経営理念をつくる?

するとタイミングよく、娘がふらっと帰ってきた。

「あれ、何書いてんの?」

「経営理念とかいうやつや。採用会社が、載せな人が来んて言うとるんや」

「あー・・。でもさ、理念って、採用の手段じゃないよ。
本当は、会社をどうしたいかを言語化するためのものでしょ?」

「・・うん? そうなんか?」

「うん・・。いや、私もそこまで詳しくないけど、
なんかそう言ってた人がいてさ・・」(←受け売り)

今茂社長、ふと考える。

(ワシの会社が、何を大事にして、どうやってやってきたか・・。
でも、言葉にするとなると…うまく出てこんもんやな)

現場主義でずっと走り続けてきたからこそ、言葉にする機会がなかった。
でも今、働く人たちも、応募する若者たちも、その会社が何を大事にしてるかを見ている時代。

変わるべきポイントはココ!

理念は採用の手段ではありません

経営理念は、「人を採るための言葉」ではなく、
「この会社をどう経営していくか」を言語化する経営の軸です。

理念があれば、採用に活きることもある。
でも、それは結果であって、目的ではない。

「理念なんて知らん」と言ってた社長も、
今は「理念って、要るかもしれんな」と思い始めている。

そこが第一歩。
自分のやってきたことを、少しずつ言葉にするところから。

このシリーズは、「時代の変化についていけないけど、どこか憎めない社長」を通じて、
経営に潜む思い当たるあるあるをユーモラスに描いています。
「うちにも可藁津 今茂がいるかも・・?」と思ったら、ぜひ参考にしてみてください。

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