今、変わるべきでしょ!可藁津今茂の経営日記
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誠実さは年齢ではなく、姿勢に宿る
年齢よりも、人の手間を想えるか
交流会15分前──静けさを破った一本の電話
交流会が始まる15分前。
設営でバタバタしていた会場に、突然電話が入った。
受話器から飛び込んできたのは、名古屋弁の怒鳴り声だった。
「おい!場所が違っとるがね!
LINEなんて、わし見られんわ!
こういう案内はチラシ作ってFAXで送るもんだで!」
怒気を含んだ声に、会場の空気が一瞬止まった。
案内を読み間違えたのは自分なのに、
まるで運営側が悪いと言わんばかりの口調だ。
この交流会は、すべてボランティアで成り立っている。
会場の確保、レイアウト、受付準備・・
誰かが仕事の合間を縫って、無償で整えている。
遅刻して現れたその人が放った言葉
その高齢参加者は遅れて到着すると、
今度は会場を見るなり、再びまくしたてた。
「このレイアウト、全然いかんわ!
モニターも見づらいし、部屋が狭すぎるがね!」
まるでお客様として扱われて当然という態度だった。
私は内心つぶやいた。
「いやいや、あなたはこの会のお客さんじゃない。
誰かが善意で作った場に、どうして不満だけ言えるの?」
後で聞いたところ、その人物は別の団体でも問題を起こし、除名処分になったことがあるという。
環境が悪いのではなく、
『その人の姿勢』がどこへ行っても同じ問題を起こすのだ。
父に話した夜──返ってきた言葉
その日の夜、父に出来事を話した。
父はしばらく腕を組み、静かに言った。
「・・年をとったから老害になるんやない。
相手の手間に敬意を払わん人間が、どの時代でも老害になるんや。」
父は68歳。
LINEは苦手だし、デジタルにも強くない。
でも、集合時間に遅れれば必ず「すまん」と言うし、誰かが準備してくれた場に文句を言うようなことは絶対にしない。
「ワシらの世代はな、人のおかげで自分が動けとるなら『ありがとう』が先や。自分の常識を押しつけたらアカン。」
父の言葉に、胸の奥がじんわり温かくなった。
誠実さとは特別な能力ではない
問題は年齢ではない。
誠実さがあるかどうかなのだ。
誰かの善意に胡座をかき、
自分の都合を正義のように語り、
文句だけを言う人は、若くても年配でも同じように周囲を疲弊させる。
誠実さとは、特別な能力ではない。
ただ、相手の働きを尊重する姿勢のことだ。
そして企業でも同じことが起きている。
善意や努力をないがしろにした瞬間、組織は静かに壊れ始める。
誠実さは、場の空気も、人間関係も、未来も支える
老害を生むのは年齢ではなく、態度。
誠実さは、いつの時代も人付き合いの土台だ。
誰かの手間に「ありがとう」と言える人は、年齢に関係なく周囲に信頼される。
そして企業も家庭も、誰かの努力を当たり前と思った瞬間に崩れ始める。
私はこの日、父の言葉を通して改めて気づかされた。
誠実さは年齢ではなく、姿勢に宿る。
その姿勢が、どんな組織も人間関係も支えていく。
・・だからこそ、私自身も、誰かの手間に「ありがとう」を忘れない人でいたい。
今回の気づき
老害は年齢ではなく、誠実さを欠く姿勢の問題。
誠実とは、相手の手間に敬意を払うこと。
文句の前に「ありがとう」が言える人は、年齢に関係なく信頼される。
組織も家庭も、人の善意が当たり前になった瞬間に崩れ始める。
この物語はフィクションですが、実際の経営現場でよくある話をもとにしています。


