今、変わるべきでしょ!可藁津今茂の経営日記

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展示会は出会いの場

けれど、出会いは言葉から始まる

名古屋での展示会出展。
私は自社ブースで来場者対応に追われながらも、通り過ぎる人の多さに少し落ち込んでいた。

「みんな、立ち止まってくれないなぁ・・」
そんな報告を父に電話ですると、
「展示会なんてよう行かんわ。人混みも苦手やし、こっちは口で勝負や」
と、いつもの調子。

私は思わず笑いながら言った。
「お父さんこそ出たらいいのに。いいモノ作ってるのに伝わってないよ」
すると父は、「モノ見たらわかるやろ」と、まるで当然のように答えた。

でも、私は思う。
見てもらう前に、立ち止まってもらうことが、今の時代の勝負なんだよ。

興味を持ってもらえるのは言葉で決まる

展示会は偶然の出会いの場。
けれど実際は、3秒で立ち止まってもらえるかの勝負。
話しかけるきっかけも、興味を持ってもらう第一声も、すべて「言葉」で決まる。

「何をしている会社なのか」「何ができるのか」を、短く・わかりやすく伝える力が必要。
でも、多くの会社はそこを曖昧にしている。

パネルには専門用語、チラシは技術紹介ばかり。
伝えるより並べるになっている。

ものづくりの価値は技術以外に伝えるのも価値

父の世代の価値観は違う。
「ワシらはええモン作っとる。それを見たらわかる」
それは職人としての誇りだ。
だが、今の時代は見てもらう前にスルーされる現実がある。

ものづくりの価値は技術力だけではなく、伝える力にもある。
言葉がなければ、伝わらないまま終わってしまう。

想いの言語化ができてますか?

私は父に話した。
「展示会は、モノを見せる場じゃなくて、思いを伝える場でもあると思う。
『なぜこの製品を作っているのか』『どんなお客様に役立てたいのか』――
その想いの言語化ができてる会社ほど、立ち止まってもらえるんだよ」

父は少し黙ってから、
「なるほどな・・そら展示会も、言葉の勝負やな」
とポツリ。

展示会とは、単なる営業の場ではなく、自社の言葉力を試される場。
ものづくりの価値を伝えるのは、図面でも製品でもなく、「言葉」。
それをどう表現するかで、人との出会いがご縁に変わる。

「展示会はご縁の入り口。
でも、立ち止まってもらえるかどうかは、結局は言葉しだいなんだよね。」

今回の気づき

展示会は偶然の出会いの場。
けれど、本当の出会いは言葉でつながるときに生まれる。
言語化とは、会社の魅力を見える化する、いちばん誠実な準備。

この物語はフィクションですが、実際の経営現場でよくある話をもとにしています。

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