今、変わるべきでしょ!可藁津今茂の経営日記
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ホームページは名刺代わりと言って10年放置
可藁津 今茂、「あるから安心」と言い張るの巻
「名刺にも載せとるしな。ホームページは名刺代わりって昔からよう言うやろ? ワシもそう思てるんや」
製造業の社長・可藁津 今茂(68歳)は、くたびれた会社案内を手にしながら、自社のホームページについて語り始めた。
実はそのホームページ、15年ほど前に、知り合いに頼んで作ってもらったもの。
当時は「うちも時代に合わせていかなアカンな」と張り切り、1年かけて原稿を書いたという力作だ。
「前にな、グーグルマップとかも入れてみたんや。けど、いつの間にか地図のところがエラーって出るようになってもうてな。ま、誰も見てへんからええけど」
ホームページが更新されていない
とはいえ、そのホームページ、10年以上一度も更新されていない。
製品紹介にはすでに廃盤となった機械の説明が載っており、
社員紹介では10年前に退職したスタッフの笑顔がそのまま。
スマホで見ようとすると、文字が小さくてはみ出し、トップ画像も読み込まれない。それでも今茂社長は、「あるから安心」と言って、ずっと放置してきた。
「問い合わせ? そら、あったらええなと思うけど・・ホームページって、見てもらうもんなん?
ワシにとっては、あることが大事やねん。名刺と一緒やろ?」
たしかに、今茂社長は昔から営業に強い。
創業当時から持ち前の明るさと人懐っこさで、地域の製造業界では顔の広い存在だった。
どこへ行っても「可藁津さん、よう頑張ってはるなぁ」と言われる人柄。
昭和・平成の時代をバリバリ駆け抜けて、会社をぐいぐい成長させてきた実績もある。
社長としての器は十分にある。悪い人ではない、むしろ「いい人」。
でも、時代の変化にはついていけない。
納得しないからそのままにしてる
社員が「そろそろスマホ対応したほうが・・」と提案しても、
「なんやスマホ対応て? そんなんわざわざ直さんでもええやろ」と一蹴される。
「社長、グーグルマップがエラーで・・」と言っても、
「来るとこ知ってる人しか見てへんから問題ないやろ」
一応、言われたことに耳を傾ける気はある。
でも 自分が納得しないと前に進めないタイプなのだ。
今茂社長は、こう続ける。
「今さら作り直すんもしんどいやん。あのときも原稿書くのに1年かかってもうたしな。なんで、今のがあかんのか、正直よう分からんねん」
この「分からない」から動けない。
そして「まあ今はええか」で先送りされ続けた15年。
その間、時代は大きく変わり、「ホームページ=名刺代わり」の時代は終わっている。
変わるべきポイントはココ!
「名刺代わり」も「会社案内」も、いまの内容であってこそ信用につながります。
昔の顔写真や、切れた地図リンクを載せている名刺を渡されたら、相手は不安になりますよね?
ホームページもまったく同じです。
ホームページはあることが目的ではなく、伝わること・信頼されることが目的。
せっかく創業時から築いてきた信用を、今のツールでちゃんと伝える。
それが、次の信頼につながる一歩になります。
このシリーズは、「時代の変化についていけないけど、どこか憎めない社長」を通じて、
経営に潜む思い当たるあるあるをユーモラスに描いています。
「うちにも可藁津 今茂がいるかも・・?」と思ったら、ぜひ参考にしてみてください。